夏休みを利用して、語学研修に出かけるお子さんをお持ちのご家庭も多いのではないでしょうか。
「英語力が劇的に伸びる」こと以上に、海外の空気を肌で感じてほしい、ホームステイという文化に触れてほしい、そして“英語って大切なんだ”と実感してほしい。
きっと、多くの保護者の方がそんな思いで送り出していることと思います。
私自身の体験から
私も、長女が高校1年生のときに、高校主催の語学研修プログラムに申し込みました。
コロナ明けということもあり、2年・3年とずっと待ち望んでいた学生たちが多く、希望者が殺到して抽選漏れとなってしまいました。
中学時代のカナダへの修学旅行も中止になっていたため、私たちは個人でオーストラリアのゴールドコーストへの語学研修を手配しました。
「英語を完璧に学んでこなくてもいい。ただ、現地での生活を思いっきり楽しんで、何かを感じて帰ってきてほしい。」
そんな気持ちで、娘はジュニアサマーコースに参加しました。英語の授業に加え、アクティビティも充実した楽しいプログラムです。
ホームステイは「当たり・はずれ」じゃない
ホームステイについてよく聞かれるのが、「当たり」「はずれ」という言葉。正直、あまり好きな表現ではありません。
自分がホストファミリーだったとして、「はずれの家」だなんて言われたら…ちょっと悲しいですよね。
学生さんの中には、広い庭、犬がいて、子どもがいて、白人の優しいお父さんとお母さんがいる…そんな「理想のホームステイ像」をイメージしている方もいるかもしれません。
でも、実際のホームステイは本当に千差万別。
私が添乗員としてイギリスやオーストラリアに何度も引率した経験からも、それははっきり言えます。
様々なホームステイの例
小さな子どもがいる家庭では、にぎやかで楽しいけれど、生活の中心が子ども。夜8時には消灯、なんてこともありました。
一人暮らしのおばあちゃんの家庭では、ゆっくり話せる時間が多く、英語力がぐんと伸びたという学生もいました。週末にはお孫さんたちが遊びに来て、にぎやかな時間も。
つまり、「理想」とは少し違っても、得られる体験にはそれぞれ価値があります。
困ったときの相談は、まず「現地の人」へ
ここで最もお伝えしたいのは、何か困ったことがあったときの相談先についてです。
学生さんの中には、困ったときにまず日本のお母さんにLINEしてしまう子がいます。
お母さんは、地球の裏側で困っている子どものことが心配でたまりません。私もそうでした。
その結果…小さな相談事でも・・・
「母から高校に連絡 → 日本の旅行会社 → 現地の旅行会社 → 語学学校 → ホストファミリー」
…という長〜い連絡ルートをたどることになります。
一方で、学生本人がその場で引率の先生や現地スタッフに一言相談すれば、5分で解決するようなことだったりするんです。
間違ってもいい、伝えることが大事
日本の学生は、文法を気にしすぎる傾向があります。
「過去形?複数形?正しい言い方がわからない…」と考えて、話せなくなってしまう。
でも語学研修では、「文法は一旦忘れて、とにかく話すこと!」が大切。
私はいつも学生にこう言っています。
「あなたの家に、日本語が話せない外国人が来たとしましょう。黙ってしまって何も伝わらない人と、日本語がめちゃくちゃでも必死に伝えようとしてくれる人。どちらが一緒にいて楽しいと思いますか?」
最終手段は、筆談。家での生活のルールは大切なので、翻訳アプリもありだと思います。
言葉は、通じるかどうかよりも、伝えようとする気持ちが大事なんです。
最後に
ホームステイがうまくいかなかった、という話の多くはコミュニケーション不足が原因です。
どうか、気持ちを柔らかく持って、ホストファミリーとのやりとりを楽しんでください。
この夏、語学研修に参加するすべての学生さんが、
「行ってよかった!」「楽しかった!」と笑顔で帰ってきてくれることを、心から願っています。
